マキシマムザホルモンに学ぶGoogleとYahoo!のサジェストの違い
指令
2013年6月2日ネット上に有名バンドからの指令が下った。
マキシマムザホルモンというバンドがある。知名度が高くファンの多いバンド。そしてマキシマムザ亮君はマキシマムザホルモンのフロントマン。
インターネッツを見ているとこんな記事がながれてきた。
マキシマムザ亮君からのメッセージ (記事の詳細はリンク先でどうぞ)
ざっくりとメッセージの内容を言えば、検索エンジンGoogleにて「マキシマムザホルモン」の後ろに公式サイトで準備した珍妙なキーワードをつけてググりまくってくれ。そうすれば、そのキーワードをGoogleがマキシマムザホルモンと関係ある言葉と勘違いしてサジェスト(入力補助)に変なキーワードだしまくるに違いない、面白いからみんなで検索しまくろう、Googleを騙そう(すべて意訳)というものだった。
今回Googleを欺くために用意されたキーワード
「マキシマムザホルモン」の後ろに以下の言葉または文章を付加して検索するというもの。
「緑色のオリモノ」
「冬ソングの定番」
「土器発見」
「カイワレ栽培」
「手裏剣3級」
「新メンバー追加オーディション」
「16人体制へ」
「新メンバーのマコ脱退」
「新メンバーのマコ再加入」
「上ちゃん口パク騒動 涙の理由」
「亮君APAホテル社長とやった」
「金曜の夜スシロー行き過ぎ」
「風邪でもないのに葛根湯飲みすぎ」
「黒烏龍茶飲めばいいと思ってる」
「カロリミット飲めばいいと思ってる」
「ふえるわかめちゃんイメージソングに起用」
「最初はデブじゃなかった!」
「ダイスケはんトリプルアクセル失敗」
コピペしていていやになったので、残り30個を見たいひとはこちらから。
けっこうひどい。
ご褒美
この検索ワードで検索して辿り着くであろうどこかのサイトにはマキシマムザホルモンの新曲ミュージック・ビデオ、というご褒美付き。おそらくこのことを知ったファンの方々はけっこうな勢いでこのキーワードで検索したのではないだろうか。
作戦失敗
このメッセージの日付が2013年の6月2日、この記事を私が書いているのが2013年の6月4日。その間2日。Googleのサジェストに結果が反映されるまでにどれくらいの時間がかかるかについて正確な時間はわからない。ただしここのところのGoogleのスピードから考えるに数日もあれば十分。けれど、おそらくこの試みは失敗に終わる。(間接的には成功する可能性はある)
それでは実際に6月4日のGoogleのサジェストの様子を見てみよう。
2013年6月4日のGoogleのサジェスト
ここでサジェストされている言葉は「歌詞」「f」「裏歌詞」「ライブ」「新曲」「PV」「アルバム」「シミ」「チケット」「爪爪爪」などであり、残念ながらマキシマムザホルモンの補完ワードとして上記で列挙されているキーワードつまりマキシマムザ亮君が検索しろと呼びかけた言葉は入っていない。
なぜ反映されないのか。
まだマキシマムザ亮君のメッセージが発表されてから2日だ。時間的な問題という可能性はある。
が、おそらくは違う。
その理由はGoogleサジェストの特性にある。Googleサジェストで表示されている言葉は検索ワード、つまり検索者が実際に検索窓に叩きこむキーワードには紐付いていない。
じゃあこのサジェストで表示されている言葉たちは何に紐付いているんだろうか。
それはWEB上にあるテキスト、例えばいろいろなサイトのニュース記事、レビュー記事、ブログ記事、巨大掲示板、質問サイト、SNS、その他とにかくWEB上にあるテキストといったテキスト文章でマキシマムザホルモンという言葉と一緒に出現している割合の高い言葉(共起語とも呼ぶ)たちだ。
Googleサジェストは検索者の意図よりはむしろ書き手つまりテキストを書いている側の意図を入力補助側に反映させている。
マキシマムザ亮君は負けたのか
ならばマキシマムザ亮君はGoogleサジェストに完敗したのか。
それも違う。
3つの点において違う。
1点目。私のように面白がってマキシマムザホルモンと補完ワードに関するブログ記事が増えれば結果として「マキシマムザホルモン カイワレ栽培」みたいなサジェストは生まれる可能性がある。
2点目。私の言っていることが間違っている。Googleは検索者のキーワードをサジェストに反映させている、今は遅いだけ。ただし、これはあくまでも可能性。
3点目。検索エンジンはGoogleだけではない、ということ。もうひとつ有名な検索エンジンがある。
Yahoo!
そう、Yahoo!
Yahoo!とGoogleは検索結果がほぼ一緒でもサジェストは全然違う。
それではYahoo!のサジェスト。
2013年6月4日のYahoo!のサジェスト
こちらはgoogleの時と少し様子が違う。
「新曲」「えいりあん」「歌詞」「アルバム」「ニコ生」「2ch」「エイリアン」などに続いて
「マキシマムザホルモン 冬ソングの定番」がある。
「マキシマムザホルモン 土器発見」がある。
そう、Yahoo!のサジェスト(入力補助)は検索者の検索キーワードと紐付いている。
まとめ
GoogleのサジェストはWEB上にすでに存在するテキスト(共起語)との関係が深い。
第一引数(この場合はマキシマムザホルモン)と同時にWEB上で多くの人に語られた言葉が表示されやすい。
Yahoo!のサジェストは検索者が検索した言葉と関係が深い。
第一引数(この場合はマキシマムザホルモン)と同時に検索窓に叩きこまれた言葉、つまり「検索フレーズ」が表示されやすい。
わかりにくので表にした。
検索エンジン名 | サジェストで優先して表示される内容 |
---|---|
共起語 既存のWEBサイトに数多く存在する言葉の組み合わせ |
|
Yahoo! | 検索フレーズ
検索窓に数多く入力された言葉の組み合わせ |
よくわからないこと
Yahoo!のサジェストはすでに「土器発見」などの結果が表示されているが、公式で準備されていたのはGoogleの検索結果へのリンクだけのはず。なぜYahoo!のサジェストに影響を与えているのか。
Yahoo!はGoogleと検索窓の入力データを共有している?
マキシマムザホルモンのファンがわざわざコピペしてYahoo!で検索している?
それともそれ以外の何かの理由?
記事とは関係ない個人的な感想
APAホテルは良いホテルではあるが、ウェルカムドリンクとして社長の顔をプリントしたペットボトルを部屋に置くことはやめた方がよい。